【今に至るまで】脳出血の発症
お母さんの認知症のトリガーになった脳出血の発症についてお話しします。
お母さんと仲の良い私は、結婚後も暇があれば、仕事が休みの日や旦那さんの出張中の時などは、車の運転が大好きなお母さんにドライブへ連れて行ってもらってました。
結婚前からよく連れて行ってもらっていたので、お決まりのコースを世間話をしながら走っていたときに、突然お母さんの様子がおかしくなりはじめました。
ぼんやりし始めたお母さん
その道は片道1車線の道で両脇には多数のお店が並んでおり、国道なのでそこそこ車通りもあり、お母さんは時速40kmか30kmで走っていたのですが、やんわりと左端に寄り始めたので
「お母さん、ちょっと左寄せすぎちゃう?」
と声を掛けたところ、
「あ〜、そうかなあ」とぼんやりした返事。
顔を伺うと、表情もぼんやりとしていたので
(なんかやばい‥?!)と思い、
私「お母さん大丈夫?一旦どこかに車停めへん?」
母「えー、なんで?大丈夫やで?」
私「あっ、うどん食べたくなってきたから、そこのうどん屋さん入ろうや」
この時点で呂律が回っていませんでした。
すぐ近くに見えたうどん屋さんへ入ろうと私は提案し、お母さんは車を駐車場の中へ。
時間が経つにつれ(とは言えここまでは数分の出来事ですが)、どんどんお母さんの様子がおかしくなっており
私「すいてるし、もう(バックで駐車せず)頭から駐車しちゃったら?」
と言ったものの、お母さんは無言でぼんやりしながらもハンドルを切りバックを始め、近くの車へ当たりました。
※このとき、私はまだ免許を取得していませんでした。30歳を過ぎていましたが、車がなくても不自由がなかったので当時は一生免許は取らないかもなあ、なんて思ってました。
顔の麻痺と、症状の深刻さに気づかない私
驚いた私は気が動転して、つい大きな声でお母さんに
「ちょー!ぶつかったやん、なんで頭から突っ込まへんのよ!!」
と言いながらお母さんの顔を見ると少し別人に見えました。
まさかまさかで、当時はすぐに気づかなかったのですが、今思えばこの時点で
顔の半分が麻痺で歪んでいたからだったと思います。
その様子のおかしさにパニックになった私はうどん屋さんの店内へ駆け込み、
「誰か助けてください」
と動転して号泣しながら中の店員さんへ伝えました。
ここで取った私の行動はあまりにも褒められたものではなく、ただただパニックで店員さんに何故か車をぶつけたことをどうしたら良いかわからないことを伝えていました。
まさか脳出血とも思わず、お母さんは、一時的にどうかしちゃっただけだと思ったのです。
ナニソレって思われるかもしれませんが、自分も号泣しているぐらい異常な状況なのに、脳に異常があるだとか全く思わなかったのです。
その後、車をぶつけてしまった方とも無事お話をし、その場で確認と連絡先のやり取りをしたのですが(後日きちんと修理代を支払いました)
「あなたのお母さん様子がおかしいけど大丈夫?病院行ったほうがええんちゃう?」
と言っていただいたのにも関わらず、それでも何故か私は(いや・・一時的なもんやと思うねんけどなあ)とおかしくなっていました。
その後、うどん屋さんのご好意で一席お借りして、私はまたおかしなことに父と代行運転の会社へ電話しました。
(今思えば何故救急車を呼ばなかったのか、自分のバカさにとても後悔しています。)
父(当時74歳)は、お母さんが車を使用しているので足がなく、タクシーであわててこちらへ向かうことに。
半身麻痺。それでも気付かない。
待っている間、お母さんはずっと右肘をテーブルについてぼんやりしていました。
それが今にもテーブルから落ちそうで危なげに感じたので
「お母さん、肘つきたいんなら両肘ついたら?右肘もテーブルの上のせときや」
と言ってもお母さんは右ひじをついてくれません。
半身が麻痺していたからでした。
お母さん。気づいてあげられなくて本当に本当にごめんなさい。
その後、代行の方と、遅れて父が到着してお母さんを車に乗せることになったのですが、力がうまく入らないお母さんを、(代行で来ていただいた)男性二人掛かりでなんとか乗せ、無事家の前まで到着した時に、
救急車の要請
代行の方が
「お母さん、本当に重大な病気にかかってるかもしれへん。今、救急かどうか判断してくれるところに電話つながってるから、今の状態と、これまでの経緯を話してみ」
と言われ電話を変わり、状況の説明をするとすぐに電話口の方が
「脳卒中の可能性があるので、すぐに救急車を呼んでください」(うる覚えですがそういった内容だったと思います)
と言ったので、
救急車を呼び、代行の方へお礼を伝えました。
結果、脳出血で即入院となりました。
この日にお世話になった
うどん屋の女性の方・車をぶつけてしまった相手の方・運転代行会社の方々には、お礼を伝えても伝えても足りません。
それと・・・
すぐに気づいてあげられず、きつい言葉までかけてしまったお母さんには謝っても謝りきれません。
お母さんごめんなさい。
今となっては、当時の記憶も全くないお母さんに謝っても分かってもらえず、
病院で泣く私の頭を、顔が半分麻痺のお母さんに(恐らくなぜ泣いているかもわからない私を)なでてもらったことを思い出すだけで胸が苦しいです。
親友のように仲良しで、趣味も一緒でなんでも相談できるお母さんの変化は今でも辛いですが、今のお母さんも大好きです。